不動産投資 やめとけ
つい先日、久しぶりに不動産投資について勉強でもするかと、とりあえずGoogleで、「不動産投資」と入力して検索してみると、関連キーワードの最上位が、「不動産投資 やめとけ」になっていた。
今や世間ではFIREブームが盛り上がっているが、不動産投資に関してはネガティブなものだと思われているのかなと気になり、試しに不動産投資に関するネガティブな情報を漁っていると、ホステル投資の被害者団体のHPに行きついた。
被害の概要のところに書いてある、ホステル投資の投資手法や投資金額など、「なんか聞いたことある話だぞ、もしかして…」と、調べてみると、はたして、以前、私も参加したセミナーを主催していた会社が訴えられているのであった。
中には実際に投資をして、うまく回らず、自己破産を検討せざるを得ないという投資家もいるとのことで、相当ヤバそうな話である。
利回り20%超のセミナーを申し込む
まだ、コロナ禍になる前の話である。
当時、私は退職して時間だけはあったので、不動産投資に関する無料のセミナーに片っ端から参加してみていた。
中には、本当に無料でいいのですか?と聞きたくなるような素晴らしい内容のものもあったが、大半は、物件を売る気満々なのだが、この程度の説明で、買いたいと思う人がいるのか?と思うような薄っぺらい内容であった。
まあ、無料なので、こちらもあまり偉そうなことは言えないことは重々承知なので、それに対して文句を言うつもりは毛頭ない。
そして、次は何か面白そうな無料セミナーはないかなと探していた時に、利回り20%以上を謳うホステル投資のセミナーが目に入った。
一体、どんな投資だろうか、とにかく高利回りのスキームが気になって申し込みをしてみることにした。
いよいよセミナー当日。驚きの投資法とは…
セミナー当日、いったいどんなスキームなのかと期待しながら、セミナー会場に向かった。実際にセミナーで聞いた投資スキームは次のようなものであった。
オーナーは都内好立地のテナント物件、例えば商業ビルの広めの1室を賃借する、そして、そのテナント物件をこの会社がリフォームしてホステル仕様にする、そして、この会社がホステルを運営して、収益がオーナーに入る。あとはオーナーは通帳にお金が入ってくるのを眺めているだけというものだった。
ホステル仕様への施工もホステルの運用もすべてお任せできるので、オーナーは、全く手間なしとのこと。
ホステルの宿泊料に関しては、これまでのデータから、収益がMaxになるように、日にち毎に宿泊料を最適化するとのことだった。つまり、宿泊率をキープできる範囲で、繁忙期は高めに、閑散期には安めに、宿泊料を調整するノウハウはあるとのこと。
これで、実際に表面利回り20%以上の実績を出しているとのことだった。
また、コロナ禍前だったので、オリンピックに向け、インバウンド需要も見込めるので、まだまだ参入可能で、これから参入するのに良さそうなテナント物件の紹介もあった。
率直に感じた疑問
しかし、待てよと。テナント賃借するときの敷金、仲介手数料などの費用や、ホステル仕様にするためのリフォーム費など、ホステルを運営開始するまでの初期費用が約2千5百万~3千5百万円。
さらに、毎月のホステルの運営費が約60万円。
この段階で、初期費用に対して表面利回り20%では、運営費にもならないことが分かる。
しかも、毎月、この運営費に加えて、テナントの賃借料とローン返済が加われば、上記の初期費用を全額ローンで借りた場合は、表面利回り60%くらいないと、キャッシュフローが回らないことは明らかである。
この投資、唯一オーナーが出来ることは借りるテナントを選ぶこと、それ以外は、専門性がありすぎて、オーナーは介入できない。
簡単な話、賃借する物件が当たって、表面利回り60%以上の宿泊料収入を稼ぎ続ければ成功、それ以下なら、毎月、持ち出しが発生して、場合によってはローンの返済が終わっても、毎月、持ち出しで完全に失敗という、丁半博打のような投資だなぁと認識した。
まあ、私の場合はサラリーマンを辞めてしまって融資が付かないので、もし、参入するなら他の物件を売ってキャッシュを作るしかない。たとえキャッシュでの投資であっても、キャッシュフローをプラスにするためには、運営費と賃借料の支払い以上の宿泊料収入が必要である。そして、投資したキャッシュを回収するには、その後、何年掛かるのかということになる。
そのテナント物件でホステル投資したときに、どれくらいの宿泊料収入を上げるかなど、その投資について、全くの素人である私が、予想できるはずもない。そんな高利回りが得られるテナント物件を目利きする力の無い私には無縁な投資だと、がっかりして帰宅した。
一般的な現物不動産投資とホステル投資の比較
単純な現物不動産投資なら、管理会社の働きが悪かったり、働きに対して管理費が高すぎると思えば、管理会社を変えることも不可能ではない。実際に私も、たまに行っている。
空室になれば、その気になれば自分で複数の業者から相見積もりを取ったり、DIYをしたりで、原状回復費を削減することも不可能ではない。実際に私も、たまに行っている。
しかし、ホステルは宿泊業なので、365日24時間、スタッフが常駐している必要があり、管理費が高額になることは明らかで、さらに専門性がありすぎて、管理を他社に変えるとか、自身が介入して経費を減らすということも難しい。
つまり、賃借するテナント物件はオーナーが選択できるが(それも、ホステル投資向けのお勧めの物件は、いくつか提示される)、物件を選択した後は、設営と運営は完全にお任せになり、その段階でオーナーにできることといえば、黒字になってくれと祈ることくらいである。
しかも、金額が金額なので、失敗するとサラリーマンの給料では、毎月のキャッシュフローの赤字を補填できず、自己破産かという話になりかねない。
初心者が不動産投資をするなら、私の小規模不動産投資における物件購入の条件と実例 や物件購入の失敗と逆転を生む売却 で書いたような少額な投資から始めることをお勧めする。少額な上に手間が掛かる物件であれば、割安な分、利回りも高くなるし、大家としての経験も積めるので、一石二鳥である。また、もし、失敗しても、少額であれば、自己破産するほどの致命傷にはならない。
ホステル投資は、その正反対を行くような投資で、初心者がいきなりこれをやるのは、お勧めできないなぁと、セミナーを聞きながら思っていた。
その後、私が気付かないうちに、被害者団体が出来、集団訴訟云々にまで発展していた。
このスキームが詐欺なのかどうかは、私にはよく分からないが、初心者は小さくスタートしたほういいと改めて思う案件であった。
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